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Torrens Dental Clinicの岸本先生が紹介する歯についての正しい知識。オーストラリアと日本の違いについてもよく分かる。

岸本 整子 (Yoko Kishimoto)
日本とオーストラリア双方の歯科医免許を持つ歯科医。アデレード大学院修士課程も修め、prosthodontics というスペシャリストの免許も所有。1994年にアデレード郊外KilkennyにTorrens Dental Clinic を開業。子どもから大人まで幅広く丁寧に治療がポリシー。
www.torrensdentalclinic.com.au

はじめまして。アデレードで開業医をしています歯科医師の岸本と申します。今後、歯科的にみたオーストラリアと日本の違いについて連載いたしますので、お楽しみいただければ幸いです。1回目は飲み水についてのお話になります。

先ず、日本と決定的に一番違う点というと、アデレードの水道水にはフッ素が入っている事でしょう。South Australia Government Department of Health のホームページ によりますと、アデレードの水道水の90%に0.7−1ppmのフッ素が添加されています。これはとても希薄で、1ppmという薄さを分かって頂くための分かりやすい例としてあえて時間の尺度にかえてみますと、割合で言えば2年間でおよそ10分間ぶんに相当する希薄さです。

水道水フッ化物添加法は、虫歯予防の統計上で言うと、間違いなく効果があり、これについてはあまり異論なく捉えられています。もちろん個人差はありますが、日本で10年近くたくさんのムシ歯を持つ子供たちの歯をみてきたわたしの目からは、一般的にオーストラリア生まれの子供たちの歯は、ずいぶん良いと思います。それとは対照的に、オーストラリアの農場などで暮らしている子供たちにはムシ歯が多い事が知られています。一般に水道水ではなく、レインウオーターを飲むためだからです。それから水道水にフッ素を添加していないクイーンズランド州でも、ムシ歯の人口が多いという事実があります。

そういう訳で、現在アメリカをはじめとした先進国などを含め60カ国以上の国で水道水にフッ素を入れています。要するにフッ素添加派がメインストリームを走っているという事です。WHO(世界保険機構)も水道水フッ化物添加法は効果的で安全なムシ歯予防方であると結論づけています。
日本では 厚生労働省が、長年議論がいろいろあったものの、一応水道水フッ化物添加にゴーサインを出したようですが、いざ実行するにあたっては『なかなか難しい』ようで、今のところ水道水にはフッ素が全然入っていないのが現実です。天然にミネラルとしてフッ素が入っている地域もあるとは思いますが、能動的には添加していないようです。

先ほど『なかなか難しい』ようでといったのは、歯科に限らずワクチンなどでもですが、各種意見が入り乱れているという訳で、『絶対反対』される方もおられます。水道水に入っていると選択権がないという人もおられます。中には、とても有害な毒だと言われる方もいます。しかしそれは例えば、食塩でも過剰摂取すると毒になりますよね。この水道水フッ化物添加法の場合は、大変希薄な量のレベルなので、ムシ歯予防においてのメリットとデメリットを比べれば、やはり水道水フッ化物添加に軍配が上がると思います。ただ先ほど申し上げた通り、過剰に採りすぎると害になる事も否定できません。その例として、フッ素の採り過ぎによりおこる斑状歯(フッ素症)という副作用が知られています。

水のほかにもフッ素がたくさん入っているものと言えば歯磨き粉です。次回は歯磨き粉についてのオーストラリアと日本の違いなどについて書きたいと思っています。

  

(参考)厚生労働省e-ヘルスネット:http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-010.html
  Government of South Australia, Department of Health, Pubic Health: http://www.health.sa.gov.au/pehs/fluoridation-facts.htm